11.震源列 Seismic Row

1.定義

 日本列島の地震活動は,全国の観測網よって捉えられたCMT発震機構解・初動IM発震機構解として気象庁から公表されている.2026年6月までのCMT解は5474個,IM解は13935個に及んでいる.

1994年9月から2026年6月までの気象庁公表CMT発震機構解5474個

1997年10月から2026年6月までの気象庁公表初動IM発震機構解13935個

 この膨大な数の地震活動は,Plate運動によって奏でられており,千島海溝・日本海溝・伊豆‐小笠原‐Mariana海溝・南海‐琉球海溝に沈込む海洋Plate運動にほぼ直交する49個の「震源帯Seismic Belt」に区分できる.これらの震源帯に共通するPlate運動に基づき19個の「震源列Seismic Row」にまとめて扱うことにする.

日本列島の地震活動を代表する地震の所属する震源列を模式震源列@とし,日本列島最大の地震である2011年3月11日の島弧沖震源列oAc・東北弧沖震源帯oAcJ・平成震源区oAcJHs巨大地震M9.0を選定する.

震源列には模式震源帯を設定し,その模式震源を震源列模式震源とする.

 日本列島の海洋側から背弧側へ向かって「1から18」の震源列番号・略称と「日本名称および英名」 震源列名と略称,その震源帯名と個数と略称を列記し,震源分布(Click拡大)は;

1 Tr 「海溝  Trench」

        千島海溝TrC・日本海溝TrJ・伊豆海溝TrPc・西南海溝TrPhの震源帯4個.

海溝震源列の総CMT解地震断層面積はΣM8.7であり,発震機構は正断層型tがΣM8.5と圧倒的に多いが,逆断層型pがΣM8.3,横擦断層型nがΣM7.9である.正断層型の中で引張過剰TはΣM8.4,通常#tはΣM7.6,圧縮過剰-tはΣM7.7である.海洋底を同心円状屈曲させるためには,海洋底表面を伸長させるとともに海洋底深部を圧縮するとともに海洋底深部のMantleを押出す必要がある.

2 oAc 「島弧沖 off Arc」@ 

     千島弧沖 oAcC・東北弧沖oAcJの震源帯2個.

3 ofAc 「前弧沖 off Fore Arc」

           千島前弧沖ofAcC・東北前弧沖ofAcJ・西南前弧沖ofAcPhの震源帯3個.

4 uBd 「平面化 unBend」

   千島平面化uBdC・東北平面化uBdJ・西南平面化uBdPhの震源帯3個.

5 fAc 「前弧 Fore Arc」

           千島前弧fAcC・東北前弧fAcJ・西南前弧fAcPhの震源帯3個.

6 Kwt 「関東 Kwanto」

   関東九十九里KwtKjk・関東房総KwtBs・関東丹沢KwtTzの3震源帯

7 nSh 「近海 near Shore」

          千島近海nShC・東北近海nShJ・伊豆近海nShI・西南近海nShPhの震源帯4個.

8 Pfc 「太平洋岸 Pacific Coast」

           千島太平洋岸PfcC・東北太平洋岸PfcJ・伊豆太平洋岸PfcI・

              武蔵野PfcMus・西南太平洋岸       PfcPhの震源帯5個.

9 Bkb 「脊梁      Backbone」

            東北脊梁BkbJ・西南脊梁BkbPhの震源帯2個.

10 bAm 「背弧Mantle Back Arc Mantle」 

  西南背弧Mantle bAmPh震源帯1個 

11 Rif 「裂開 Rift」

           伊豆裂開RifI・西南裂開RifPhの震源帯2個.

12 Jsc 「日本海岸 Japan Sea Coast」

            東北日本海岸JscJ・西南日本海岸JscPhの震源帯2個

13 oJsc 「日本海岸沖 off Japan Sea Coast」

            千島日本海沖oJscC・東北日本海沖oJscJ・西南日本海沖oJscPhの震源帯3個.

14 WdtiAc 「和達弧 Wadati Arc」

   千島和達弧WdtiCAc,東北和達弧WdtiJAc,伊豆和達弧震源帯WdtiPcAcの震源帯3個.

15 WdtiB 「和達β Wadati Beta」

            伊豆和達震源帯WdtiPcBの震源帯1個.

16 WdtiG 「和達γ Wadati Ganma」

   伊豆和達震源帯WdtiPcGの震源帯1個.

17 Wdtibg 「和達βγ Wadati BetaGanma」

            千島和達WdtiCbg,東北和達WdtiJbgの震源帯2個

18 WdtiD 「和達δ Wadati Delta」

          千島和達WdtiCd,東北和達WdtiJd,伊豆和達震源帯WdtiPcdの震源帯3個.

19「和達全屈曲震源列 Wadati Full Bend  Seismic Row WdtifBd」

伊豆和達全屈曲震源帯WdtifBdの震源帯1個

 日本列島の地震は,基本的に異なるPlate運動と関係する島弧上部地殻で発生する「浅発地震」・島弧上部Mantleで発生する「中発地震」・沈込む海洋Slabで発生する「深発地震」に区分できる.

2.浅発地震 

 島弧上部地殻を震源とする地震活動域であり,地表に近いため規模が小さくとも大きな被害を及ぼす直下型地震になることから警戒が必要である.太平洋側と日本海側から沈込む海洋Plate運動によって集積した歪が島弧上部地殻の破壊限界を超えて発生する地震が沈込境界にほぼ並行に配列し,地震帯を形成する.島弧上部地殻縁の太平洋岸Pfcと日本海岸Jscと中央の脊梁Bkbの歪集中帯に対応するとともに,琉球弧と西南日本弧では沖縄海盆や瀬戸内海の背弧海盆拡大や裂開Rifに対応する.裂開は東北日本弧では山間盆地を形成しているが,震源帯を成す地震活動に至っていない.

「太平洋岸震源列 Pacific Coast Seismic Row Pfc」

「脊梁震源列   Backbone Seismic Row Bkb」

「裂開震源列   Rift Seismic Row Rif」

「日本海岸震源列 Japan Sea Coast Seismic Row Jsc」

3.中発地震

 島弧下部地殻から上部Mantleを震源とする地震域である.島弧は深度とともに高温になり構成岩石も変化する.最も低温な上部地殻は,石英を主体とする酸性岩質で,下部地殻は長石を主体とする塩基性質で,その下はかんらん石を主体とする超塩基性岩質のMantleである.石英は磁器の釉薬として使用されるように溶融しやすく,温度上昇とともに急速に破壊強度を減少させる.長石は陶器の材料となる陶土のようにある程度高温まで破壊強度を保つ.かんらん石は耐火煉瓦の原料であり,島弧の構成岩として破壊強度が最大で,地殻とMantleの境界であるMoho面下のMantle最上部は最も低温で島弧を支える大黒柱の役割を担っている.中発地震域は島弧を支える最強のMoho面付近の地震域である.

 太平洋側から沈込む海洋Plateによる歪が破壊限界に達して発生する近海 nShと伊豆弧と本州弧の衝突によって関東平野下に押し込められた伊豆弧・本州弧間の海洋底が沈込んだSlabの関東Kwtと日本海底Slabの日本弧への沈込に対応する日本海岸沖 oJscの震源列がある.

 「近海震源列     near Shore Seismic Row nSh」

  「背弧Mantle震源列 back Arc Mantle Seismic Row bAm」

「日本海岸沖震源列        off Japan Sea Coast Seismic Row oJsc」

4.深発地震

 海溝から沈込む海洋Plate及び海洋Slabの変形と,海洋Slab上面と接する島弧構成岩との間の剪断破壊の凡地震帯である.海洋Plateは海溝から同心円状屈曲して沈込を開始してSlabとなる.島弧下に沈込むSlabが最初に接する島弧地殻の島弧沖 oAc震源列,次いで島弧上部Mantleに接する前弧沖震源列 ofAcがあり,その島弧とSlab上面との間の接触面にはPlate運動による圧縮歪が集積するが,摩擦抵抗があるため剪断歪になり,圧縮歪軸は島弧側傾斜のSlab上面と逆の海溝側傾斜になる.海洋Plateが同心円状屈曲する場合には,Slab浅部が伸長し,Slab深部が短縮しなければならいが,この歪に対応するのが海溝 Tr震源列である.Slabが沈込み平面化する際には逆に伸長したSlab浅部が圧縮し,圧縮したSlab深部が伸長しなければならない.このSlab平面化に対応するのが平面化震源列と前弧震源列である.平面化して沈込んだSlabが周囲Mantleの相転移などによる変形に対応するのが和達深発震源列である.

「海溝震源列     Trench  Seismic Row Tr」

「島弧沖震源列 off Arc Seismic Row oAc」

 「前弧沖震源列 off Fore Arc Seismic Row ofAc」

「平面化震源列 uBend Seismic Row uBd」

「前弧震源列     Fore Arc Seismic Row fAc」

「関東震源列   Kwamto Seismic Row Kwt」

「和達弧震源列    Wadati Arc  Seismic Row WdtiAc」

「和達β震源列 Wadati Beta  Seismic Row WdtiB」

「和達γ震源列 Wadati Ganma  Seismic Row WdtiG」

「和達βγ震源列  Wadati BetaGanma  Seismic Row Wdtibg」

「和達δ震源列 Wadati Delta  Seismic Row WdtiD」

「和達全屈曲震源列 Wadati Full Bend  Seismic Row WdtifBd」

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