6. 震源円表示

 地震の規模はM9.0などと対数で表されている.震央地図や海溝距離断面図・縦断面図への震源表示には,小さな地震の見落防止の為,対数表示の地震規模Magnitude Mに比例した円直径や線長が使用される.しかし,地震は,Plate運動に伴い累積した歪が解放される際に発生する振動なので,地震によって解放される歪を直観的に捉えることのできる定量的表示が地震予報には必要である.

 地震規模を線形化して表現する映像(門傳,2021)も公開されているが,震央地図上の震央にその規模から算出される地震断層長を直径とする円を表示すれば,その円の面積が地震によって解放される歪面積に比例するので,Plate運動によって累積する歪面積と直接比較可能になる(月刊地震予報173,2024年3月)

 地震の規模と地震断層の大きさの関係は,松田(1975)によって経験的に求められている.地震断層長L km(=10^(0.6M-2.9))で,面積は地震断層面積Sf km2 (=10^(1.2M-9.9))に比例.表示地震の規模が小さい場合には補正規模ΔM「+1.0」を加えて「4倍拡大」した地震断層長を使用.地震断層の長さLとずれDは,地震の規模差「ΔM」が「+1.0」大きくなると4倍になり,ΔM+0.5なら2倍になる.地震断層に沿う移動面積Sfは,地震断層の長さLにずれDを乗じて算出でき,ΔM+1.0で16倍,ΔM+0.5で4倍になる(新妻他,2005).この地震断層移動面積Sfの総和は,Plate境界に沿って集積する歪面積と直接比較検討できる(解説6-1図).

解説 6-1図.地震断層長径円・凡例

 地震断層長Lを直径とする円(「断層長円」)を震央地図に描くと,震央から地震断層が伸びる範囲が円周になり,地震の規模を直観的に把握できる.更に,この円の面積は断層移動面積に対応するので,Plate運動面積と比較できる.地震断層面積とPlate運動面積の定量的表示に使用しているBenioff図に対応する時系列図の地震発生位置に断層長円を描けば,どの程度の地震がどの程度の間隔で発生すればPlate運動面積歪の累積に対応できるかを検討できる.

解説 6-2図.日本全域 CMT震源地震断層長径円表示

引用文献

松田時彦(1975)活断層から発生する地震の規模と周期について.地震第2輯,28,269-283.

門傳一彦(2021)日本で観測された地震2010-2020.https://lidea.site/works/2021/02/post-2437/

新妻信明・籐間 俊・伊藤広和・吉本拓二(2005)地殻活動観測所における光波測距による中部日本の歪と2004年新潟県中越地震との関係.静岡大学地球科学研究報告,32, 11-24.

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