1.宮城県沖地震
宮城県沖地震域では10月3日にM5.0,10月25日にM5.6と逆断層p型有感地震が起こり,10月22日にも横ずれ断層np型M4.5,24日逆断層p型M4.5,10月26日逆断層p型M4.7と活発化している[2012年10月東日本].
これらの宮城県沖地震に先立ち,襟裳小円区のスラブ過剰域(速報28,2012年7月:東日本巨大地震が変えた地震活動様相)のスラブ上面付近で 10月2日に逆断層p型M6.3・M5.0・M4.7の連発地震,10月19日逆断層p型M4.7と10月23日逆断層p型M4.8の地震が起こっている.襟裳スラブ過剰域の地震が宮城県沖地震に先行すれば,再来が心配される三つ目の宮城県沖地震を警戒するための目安になるであろう.
日本海溝外では正断層t型地震M5.4が10月14日に起こっており,宮城県沖地震域の活発化に太平洋スラブ沈み込みが関係していることを示唆している.
2.浜通地震
自動発震機構解リストに掲載されている浜通の地震は,2012年6月に途絶えたが,7月から再発して活発化している.9月の地震7個を上回り,10月には12個M3.5-4.4と増加している[2012年10月東日本IS].震央域が北方に拡大し,引張主応力T軸方位が海溝軸直交方向から45°以上ずれた正断層tr型(青色)になっている(図68).

図68.2012年10月の自動発震機構解リストによる浜通域の主応力方位. 震央位置が北方に拡大し,引張主応力T軸が海溝軸直交方向から外れている.
浜通域の地震は,本年に入って2月19日M5.2と7月6日M4.5がCMT解リストに掲載されたのに続き,10月17日の正断層tr型M4.5が掲載された[2012年10月東日本CMT].
3.マリアナ海溝外地震
マリアナ小円区と小笠原海台小円区の境界付近のマリアナ海溝から189km外側で正断層t型海溝外地震M6.1が起こった[2012年10月日本全図].この地震の引張主応力T軸方位は海溝軸に直交している.この地震は,太平洋スラブの引張応力が海溝から150km以上離れた太平洋プレートまでも引き裂くことが可能であることを示している.
CMT解リストに掲載されている1994年9月以後の全ての地震は海溝外150kmまでの震源断面図に表示できたが,今回の地震は表示できず,今回から震源断面図の表示範囲を海溝外200kmに拡大した.このような震源断面図の表示範囲拡大は,2012年8月14日の千島スラブ底地震の最深記録更新(速報30,2012年9月:千島海溝スラブ最深地震)に続き2回目である.表示範囲を超える地震の発生は,太平洋プレートの沈み込み様相が東日本巨大地震によって大きく変ったからであろう.
4.千島海溝域の地震
7月と9月に得撫(ウルップ)島沖の連発地震が起こったが(速報31:得撫島沖の地震),10月にはカムチャツカ半島に近い千島海溝北東端の千島スラブ上面で10月14日逆断層pr型M5.7が起こったのみで,得撫島沖の地震は終息したようである[2012年10月日本全図].
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