1.2026年9月の地震活動
前月の地震活動を記載する本章では,2026年8月の月刊地震予報203から全国月刊CMT解を表示してきたが,前月分のみでは地震活動の様相が分かり難いので,本月刊地震予報から半年分の全国CMT発震機構解(図695)を表示することにしました.前月までの発震機構解は本HomePage先頭の「年月別発震機構解」選択によるGallary表示をしてきましたが(月刊地震予報201,2026年6月),図695下の釦列で前月分の発震機構解を選択表示できるように改訂しました.
気象庁が公開しているCMT解によると,2026年9月の地震個数・総地震断層面積のPlate運動面積に対する比・総地震断層面積規模(速報36,2013年1月)は,日本全域で11個0.071月分ΣM6.1,千島海溝域で1個0.048月分ΣM5.6,日本海溝域で5個0.053月分ΣM5.3,伊豆・小笠原海溝域で0個,南海・琉球海溝域で5個0.127月分ΣM6.0であった(全国月別CMT;図695右上下図の上端の9月分).
最大CMTは,9月30日西南海溝琉球TrPhRk震源区M5.9Tr/18㎞,次大が9月5日千島弧沖択捉oAcCEtr震源区M5.6+ps/45kmでM6.0以上のCMTは無かった.

図695.2026年9月全国半年CMT.
2026年9月までの全国2年間のCMT解は,401個でその総地震断層面積規模ΣM8.9はPlate運動面積規模M8.2に対して5.334倍と大幅に超過している(図696の中図上).日本全域と千島海溝域のBenioff曲線(図696右図上左端Total/4と右端Chishima[A])は2025年7月30日M8.8の巨大な段差に隠され他の段は見え難いが,伊豆海溝域OgsIzでは,2024年末から2025年始への段・2026年初の段が認められる.琉球南海域(図696右図上左端の右側のRykNnk[D])にも,伊豆海溝域と同様なBenioff曲線が認められるが,2026年7月28日に令和熊本地震M6.8が起こり(月刊地震予報203,2026年8月・月刊地震予報204,2026年9月)新たな段が加わった.
千島海溝域では,2025年7月30日千島弧沖Kamchatka震源区oAcCKamcM8.8・2025年9月19日oAcCKamM7.8psが続き最大の段を形成したが,主歪軸傾斜方位に変化がなく千島海溝域の歪の完全解放に至っていない(月刊地震予報193,2025年10月).2026年に入り択捉沖で1月最大地震があったが,2026年2月以降CMT解の無い(図696右下areaM図が左端の基底に留まる)「無CMT化」し,4月11日千島海溝釧路TrCKsr震源区M5.2-to/32kmなどの正断層型CMTの後再び無CMT化していたが2026年9月5日千島弧沖択捉oAcCEtr震源区M5.6+psがあった.
静穏化の続いていた日本海溝域[B]では,千島海溝域の活動を引き継ぎ2025年末(月刊地震予報196,2026年1月)および2026年4月(月刊地震予報200,2026年5月)そして6月(月刊地震予報202,2026年7月)の活動が段を形成している.

図696 .2026年9月までの日本全域2年間CMT解.
数字とMはM7.0以上のCMT解発生年月日と規模.震源はCMT解規模から算出される地震断層長径円の中心(解説6.震源円表示).表示期間の地震規模が小さいのでΔM+1.0とし,長径を4倍拡大.
2.令和熊本地震の余震活動
2026年7月28日16時27分に7月最大CMT解 M6.8nt/13km令和熊本地震が九州小円区方位310.4°の海溝距離/深度[Slab深度]261/13[-71]kmが西南裂開九州RifPhKys震源区で発生した(月刊地震予報203,2026年8月).
本震判定の指標となる逆極性StrainΠが,最大初動IM解M7.1ntの2026年7月28日16時27分の1時間半と3時間後に初動IM解に,翌日・翌々日の23時間後から31時間後に速報Prel解と初動IM解に認められ,最大初動IM解M7.1ntが本震で主歪を解放したと判定されている(月刊地震予報204,2026年9月).
2026年7月25日から9月30日までの初動IM解76個の発震機構型は,引張横擦断層nt型39個(黄緑色)・正断層t型15個(黒色)・圧縮横擦断層np型14個(黄緑色)・座屈逆断層pb型3個(橙色)・剪断逆断層ps型(赤色)5個と横擦引張優勢である.速報始震が初動IMでは最大規模M7.1ntとされBenioff曲線を黄緑に埋めている.初動IM解の地震断層面積規模areaMは2026年8月初旬まで直線的に減少するが以降は小さな高まりを持つがほぼ一定規模に収まっている(図697).

図697.西南裂開九州RifPhKys震源区の2026年7月25日から9月30日までの初動IM解76個の移動平均地震断層規模areaM曲線(Mgn)とBenioff曲線.右図:縦断面図は九州小円区のみを拡大表示.震源は初動IM解規模から算出される地震断層長径円の中心(解説6.震源円表示).表示期間の地震規模が小さいのでΔM+2.0とし,長径を16倍拡大.
2026年7月25日から9月30日までの西南裂開九州RifPhKys震源区の初動IM解76個の,始震速報解の主歪軸傾斜方位を基準とするEuler偏角StrainΠのBenioff図は,基準とした始震(黒色)が圧倒し,偏角が25°以内(紫色)が9月末まで続くが,本震認定の指標となる逆極性StrainΠが7月28日17時57分M4.0t[11.7°]・19時43分M3.4tr[121.4°]・7月29日20時47分M4.3tr[112.4°]・23時02分M4.3t[125.3°],8月10日9時48分M4.0tr[139.4°]・13日8時56分M4.2tr[117.0°]の6個認められ,本歪の解放判定がなされている(図698;月刊地震予報204,2026年9月).

図698.西南裂開九州RifPhKys震源区の2026年7月25日から9月30日までの初動IM解76個の主歪軸方位の2026年7月28日始震速報解M6.8nt/10km主歪軸方位P75+6T166+11N316+78からのEuler偏角(StrainΠ).右図:縦断面図は九州小円区のみを拡大表示.震源はIM解規模から算出される地震断層長径円の中心(解説6.震源円表示).表示期間の地震規模が小さいのでΔM+2.0とし,長径を16倍拡大.
3.2026年10月の地震予報
2026年9月は2026年2月以降半年ぶりにM6.0以上のCMT解がなく震度分布図を掲載しなかった.昨年2025年は,2月・3月・8月にM6.0以上のCMT解が無く,2025年8月以降地震活動が活を発化しているとも言える.ただし,今年のPlate運動面積に対する総地震断層面積の比は,全国で0.442と半分以下で日本海溝域が2.581倍と唯一超過している.日本海溝域の過剰地震活動は千島海溝域巨大地震の巨大歪を横流し,千島弧沖得撫oAcCUr震源区の破壊開始を遅らせているとも考えられ,今後の動向に警戒が必要である.
西南裂開九州RifPhKys震源区令和熊本地震の余震は継続しており,歪の完全開放に至っていないが収まった後には,相補的にM7以上の歴史地震が起こしている西南裂開瀬戸RifPhSeto震源区の瀬戸内海西部の直下型地震(月刊地震予報204,2026年9月)に警戒が必要である.
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